自然の音

春のある夕方
外を出たら雨が降っていた。


異次元にでも行ったかのように
日中の騒がしさを消して
ただ雨の音だけが聞こえてくる


景色は霧かがったように白く
雨をまんべんなく大地へ届くように
大地に優しく落ちるように降っていた


木々や野草はおしゃべりをやめ
気持ちよさそうに
雨にあったっている


無駄な音はなにひとつ聞こえない





ただただ雨が降っている





ただただ雨が降っている







体にしみわたる音は
傷ついた細胞を癒して
奥深くまで入っていく

良いことも
悪いと思ってることも
全てからだの中に入っていく



無駄な音はなにひとつ聞こえない


微動だにしない感情
その空間にただ浸っていた。





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